住まうこと自体が、歓びになる家。

広く住める、大きくすめる

ゆったりしていて、広々していて、それでいて落ち着きが感じられる家を建てたいものです。

この家のリビングは天井が高く、気持ちよく感じられます。

しかしそれは、玄関を入ってすぐの部屋と、階段上の2階と、ダイニング・キッチンの天井の低さ、

そうして開口部との関係が一体となってのことで、

仮にもし、リビングだけ天井が高かったとしたら、感じ方は違ったものになります。

低い天井と高い天井、そして開口部との関係、

組み合わせが絶妙なのが、広さを生んでいるのです。 

「和」と「モダン」の不思議な融合

Japanese style and modern



南と東には窓が大きく開き、朝はおはよう、と光が差し込みます。石の花壇で街と庭が穏やかにつながります。

「和」と「モダン」の融合

日本の家は、柱も、建具の桟も、畳の縁にしても、直線が際立っています。このことは、主要材料である木が持つ特質から出ています。日本の木材の多くは直通です。梁桁にひん曲がった地松丸太を用いたり、百日紅の曲り材を床柱の意匠に用いたりすることはありますが、基本が直線なので、それらの曲線が際立ちます。

この家は、「和」の象徴として直線の協調と、一方でこの線を消し去る「モダン」との不思議な融合が、意識的に試みられています。両者はせめぎ合っているようで、実は溶け合っていて、それがこの家の心地よさを生んでいます。

多田グリーンハイツだから

そんな空間デザインを設計者になさしめたのは、多分に「多田グリーンハイツだから」とみるのは、果たして穿ち過ぎでしょうか。この街は、池田・宝塚の家に見られる「モダン」の系譜を受け継ぐ街づくりの意図が見て取れます。少し広めの土地と、若い移住者のマイホームの夢が基調となって醸し出された、独特の空気感を持っているのがこの街です。

数十年前にここに家を建てた人それぞれにとって、この街は「わがニュータウン」でした。しかし、初期の移住者は、それぞれ年をとりました。これは避けられないことでありますが、北摂の街が持っている、

一種独特の「モダン」が土地利用の狭小化と共に年々消え失せる中で、多田グリーンハイツは、まだしも踏みとどまっています。この街が持つアイデンティティということを考えると、木の家の素材性を表す「和」と、若い移住者の好みを表現する、新しい「モダン」との融合が、この街に活気を呼ぶのではないかと思われ、それをカタチにしたくて、この家を建築したのです。


その家は、前を通る人の家でもある。



この家の基本計画は、建築家・河合俊和の手によります。基本設計図と一緒に、イメージ・スケッチを起して頂きました。

グリーンハイツの風景になる家

街は、いろいろな建物が集まってできています。

そして、それが街の風景をカタチづくります。

どんな人が住んでいるんだろうか?

街を歩いていて、いい家に巡り会うと、この家はどんな人が住んでいるのだろう、という想像に駆られます。

家の表情は、内面に宿るもの

住まいの内側が豊かだと、それは外見に現れると言います。人の内面と外見の関係と一緒です。

四季の移ろいが感じられる落葉樹

落葉樹を植えると、毎朝、散歩しながら、季節の移ろいが感じられます。

家の迎

玄関は、毎日の家族の出入りの場所であると同時に、外から家を訪問する人の「家の迎」です。

家の裏側は、裏側の家の表

家の裏側が小さな窓とアルミ格子、エアコンの室外機でなくなると街は変わります。